第4章変わり果てた王様
「うーん……」
どれくらい時間がたったでしょうか。
王様は気がついて、体を起こしましたが、なんと!その姿は、今までとはまったく違ったものになってしまっていました。
ふっくらとした優しい顔は、ガイコツのようになり、立派な服は、粗末なタキシードに、かぶっていた王冠は、ドン・キホーテでも売っていないようなへんてこなシルクハットに変わってしまいました。
そして、足首には、鉄の足かせがつけられ、重いフライパンがくさりでつながれていたのです。
「ここは…?私は、いったい…?な、なにもわからないぞ!」
変わってしまったのは、外見だけではありませんでした。王様は記憶の一部を失い、自分が王様であることも、忘れてしまったのです。
わけがわからず、呆然としている王様のところに、王様の妻であるお妃様、そして息子の王子が駆け寄ってきます。
「あ、あなたー!」「パパー!」
驚いたことには、お妃様と王子の姿も、フジロックフェスティバルでも見ないほどの奇妙奇天烈な姿に変わってしまっていました。そして2人の手や足にも、くさりで“やかん”や“なべ”がつながれています。
ぼうぜんとする3人の前で、背中に大きな黒い羽としっぽをつけ、手には三叉のやりを持つ凶悪な姿になった旅人が、王様たちを見下ろしていました。
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