第6章 謎の声
魔王が消えた部屋で、魂が抜かれてしまったようになった王様は、ふらふらと部屋の窓に近づきました。そして窓の外を見ると……、なんと、お城の周りに無数のフライパンが山のようにうず高く積まれ、お城が覆われてしまっています。
「ううう。いったい、どうすればいいのだ」
がっくりと床に膝をついて、うなだれる王様。
その耳に、どこからともなく、かすかなレゲエミュージックのリズムが聞こえてきました。その音がだんだん大きくなると、リズムに乗って、こんな声が聞こえてきたのです。
「ゲラップ、スタラップ!なぞなぞさん、あきらめるのはまだ早いぜ」
なぞなぞさんは、びっくりしてまわりを見回しましたが、どこからともなく響いてくる声の主は見つかりません。
「んん?気のせいかな?」
「気のせいじゃないよ、ブラザー。俺はボブ。わけがあって、いまは姿を見せられないんだ。いいか、よく聞け。お前たちの呪いをといて、元の姿に戻す方法がひとつだけある」
「え!本当ですか!お、おしえてください」
「やつはさっき言っていただろう?『なぞなぞにこたえられなかったから、呪いで変身させてやった』って」
「ええ」
「だから、なぞなぞをとけばいいんだ。なぞなぞをとけば、呪いもとける。やつは、なぞなぞでこの国を支配するとも言っていた。つまり、しばらくこの国にいるはずだ。やつを見つけて、なぞなぞを出させて、それに正解すれば、少しずつ呪いがとけていくんだ」
「なるほど!なぞなぞをとけば、呪いもとけるのですね!」
「ああ。ただし、やつの魔力は強力だ。ひとつやふたつのなぞなぞをといても、いきなり呪いは消えないぞ。たくさんのなぞなぞをとき続けて、少しずつ呪いをといていくんだ。おそらく、数百問のなぞなぞをとかないと、呪いは完全にとけないぞ」
王様は、また顔を曇らせます。
「数百問…。私はさっきも奴のなぞなぞがとけなかったくらいですし……。奴に挑戦して、そんなにたくさんのなぞなぞをといていくなんて……、無理です」